自己免疫とアレルギー

自己免疫疾患とアレルギー疾患

免疫は本来「疫病(主に伝染病のこと)」を免れるという意味です。免疫は病原体や有害物質から体を守るためにある大切な体の働きです。体を作っている皮膚や内臓・骨などその全てを「自己」と認識し、自分以外の物質を「非自己」として区別する「自己認識機能」が免疫の本質です。感染症から身を守る、同じ病気に二度かからない、ワクチン接種に効果が出るなども免疫のおかげです。関節リウマチや膠原病などが該当します。

免疫反応は生体にとって有害な病原体などを排除する為の大切な働きです。アレルギー反応は通常無害な物質に対して免疫システムが異常な反応をすることを指します。アレルギー疾患は外部からの抗原に対し、免疫反応が起こる疾患のことです。気管支喘息・花粉症・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎などが該当します。自己免疫疾患とアレルギー疾患との違いは内因(自己の体を構成する物質が抗原となる)か外因(外部からの物質が抗原となる)かの違いだけです。アレルギー疾患や自己免疫疾患の治療では、免疫の働きを一時的に抑える薬剤(免疫抑制剤・ステロイド・抗炎症剤など)が使われます。間質性肺炎の場合、間質という自分自身の組織を攻撃して肺炎を引き起こします。そのため、間質性肺炎は自己免疫疾患ですが、広い意味でのアレルギー疾患とも言えます。

ステロイド剤
左右一対の腎臓の上部に副腎という臓器があります。この副腎の皮質部分からホルモンが分泌されており、これを副腎皮質ホルモンといいます。これは生命の維持に必要なホルモンで、普通の状態でも常に体内で作られ分泌されています。この副腎皮質ホルモンを化学合成したものがステロイド剤です。ステロイド剤は、体の中の炎症を抑えたり体の免疫力を抑制したりする強力な作用があります。様々な疾患の治療に使われますが、副作用も多いため注意が必要なのです。治療のためにステロイド剤を使用すると副腎皮質からの副腎皮質ホルモンが分泌されなくなります。症状が改善してステロイド剤の使用を急にやめると、副腎皮質がすぐに対応できず副腎皮質ホルモンを分泌できません。そうすると体内の副腎皮質ホルモン量が不足するようになり、危険なショック状態や様々な症状が出ることがあります。そのためにステロイド剤は徐々に減らしていくことが重要なのです。

副腎 パルスオキシメーター

パルスオキシメーター(Pulse:脈拍+Oxygen:酸素の測定器)
細菌性肺炎も間質性肺炎も呼吸器の病気なので、肺の機能がうまく働かなくなります。肺が炎症を起こすと二酸化炭素と酸素のガス交換機能がうまくいかず、血液中の酸素濃度(酸素飽和度)が下がり息苦しくなるのです。

このパルスオキシメーターという測定器具は体の酸素量(酸素飽和度)や脈拍を測ることができます。酸素飽和度は体の中に酸素がどの程度血液に供給されているかを知るための指標です。肺で取り込まれた直後の肺静脈における酸素飽和度は100%です。しかし血液が末梢に循環するにつれて徐々に低下し指先などでは正常な場合95~97%程度になります。パルスオキシメータは、この動脈血酸素飽和度を連続的に測定できる測定器です。手軽に酸素飽和度が測定でき同時に脈拍数も得られます。通常は洗濯バサミ状(プローブといいます)になっていて指を差し込んで測定します。酸素飽和度の標準値は96~99%です。90%未満は呼吸不全の状態なので90%以上に維持する必要があります。そのため90%未満の場合はこの値が90%以上になるように酸素吸入をする必要があるのです。

パルスオキシメーターは医療機関や在宅酸素療法だけでなく、スポーツや高山病の予防などにも利用されています。

間質性肺炎の原因として考えられるもの

  • 感染によるもの:インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス
  • 膠原病によるもの:関節リウマチや多発性筋炎などの自己免疫疾患
  • 放射線によるもの:放射線療法程度の強い被曝
  • 薬剤や中毒によるもの:抗癌剤・インターフェロン・抗生物質などの薬剤・漢方薬の小柴胡湯・サプリメントなどの健康食品・パラコート・除草剤など
  • 無機物質によるもの:粉塵・アスベスト・珪粉・石綿・ボーキサイト粉など
  • 有機物質によるもの:ほこり・カビ・きのこ胞子・ペットの毛・羽毛など
  • その他:加齢・喫煙・環境・体質・遺伝など

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